グルーヴとはナニか?「ノリ」の正体を探る

毎日お店では新しく入荷したレコードをクリーニングして、コンディションのチェックして、コメントを添えて店頭に並べてるんですが、そのコメントの中でオイラがやたらと使ってる言葉があります。
それが「グルーヴ(Groove)」です。

「グルーヴィなベースライン!」とか「最高のグルーヴをカンジさせてくれる!」とか……気づけばホトンドのコメントに登場している最頻出ワードとなっています(笑)
でも、ある日ちょっとした出来事があって、その「グルーヴ」というコトバについて、改めて考えるコトになったんです。


「グルーヴって何ですか?」と聞かれてハッとした

ある日、20代くらいの若い男性のお客さんが来店してくれました。
「こちらのお店は、全部のレコードにコメントが書かれていてすごく参考にしてます」とウレシイお言葉をもらったんですが、続けてこんな質問をされました。

「そのコメントによく“グルーヴ”って書かれてるんですけど、グルーヴって何ですか?」

たしかに、オイラのコメントやInstagramの投稿でも、高確率で「グルーヴ」という単語を使っています。
でも、そのお客さんの質問を訊かれてハッとしました。
——「あれ、自分でもちゃんと説明できるホド『グルーヴ』って理解してるかな?」って。

フダンは「ノリがいい」とか「リズムが気持ちいい」っていう感覚で使ってるケド、
「グルーヴって何?」と問われると、うまくコトバにできない。
その時は「その曲のノリのコトですよ〜」と答えたんですが、正直、自分でもモヤっとしていました。
だから今回は、自分自身の勉強の意味も込めて、「グルーヴとは何か」を掘り下げてみたいと思います。


グルーヴ=「ノリ」だけど、それ以上のもの

一般的には、「グルーヴ」って「ノリ」やとか「リズム感」のコトを指します。
ドラムのビートやベースラインのうねり、演奏全体の流れの中で自然に身体が動くあの感覚のコトですね。
でも、厳密に言うと「リズム」や「テンポ」そのものではなくて、リズムの中で生まれる「流れ」や「呼吸」のコトなんです。

たとえばファンクの帝王 Godfather of Soulコト、James Brown
彼の「Funky Drummer」を聴くと、ドラムとベースがぴったり合ってるのに、どこかゆるやかで、うねっている感じがする。
この「タメ」がまさにグルーヴ。
機械のように正確ではないけど、その“わずかなズレ”が人間らしい心地よさを生んでるんです。


人間は“ズレ”を心地よいと感じる

不思議なコトに、人間の脳は「完璧なリズム」よりも、ほんの少しズレたリズムを心地よいと感じるようにできてるそうです。
また逆に機械のように正確なテンポは安定しているケド、予想通りすぎてちょっと退屈に感じる。
逆に人間が演奏すると、ミリ秒単位で微妙に前後に揺れる——この“ゆらぎ”が「生きたリズム」を作るんでしょうね。

脳は音を聴くと「次はこう来るかな?」と予測していて、予測通りすぎると刺激がなくなるケド、少し外れると「おっ!」と反応して快感を感じる。
これを心理学では「予測とズレのバランスの快感」と呼ぶそうです。
つまり、グルーヴの心地よさ=予測とズレの快感というワケですね。


リズムがなくてもグルーヴは存在する?

「グルーヴ=ビートのある音楽」だと思われがちですが、実はリズムが弱くても、グルーヴを感じる音楽はたくさんあります。

例えば、Bill Evans Trio のようなジャズのピアノトリオ。


テンポは緩やかでも、演奏者たちの間に“呼吸のような流れ”があって、
そこに確かにグルーヴがある。

また、ボサノヴァの「さざ波のようなゆらぎ」や、
Brian Eno のアンビエント音楽の“時間がゆるやかに流れていく感覚”も、
静かなグルーヴの一種といえます。



つまりグルーヴとは「ビートの強さ」ではなく、
“時間を感じる心地よさ”そのものという解釈ができそうです。


機械のリズムにも「グルーヴ」はある

では、TechnoやHouseのような「マシンビート」の音楽はどうでしょう?
「一定のテンポで打ち込まれたビートにグルーヴはない」と思うかもしれませんが、それは違うんですよね。

Jeff MillsCarl Craig のようなテクノ・プロデューサーのトラックを聴くと、
正確無比なリズムが延々と続くのに、なぜか身体が自然に動いてしまう。
これは、人間の脳と身体が「周期的なリズム」に同期していく「エンレインメント」という現象によるもの。



リズムが規則的に繰り返されると、脳波や呼吸、心拍がそのリズムに同調していくんです。
つまり、Technoのグルーヴは「ズレによる快感」ではなく、「同期による恍惚感(トランス)」という快感というコトですね。


文化や環境によって「グルーヴの感じ方」は違う

実は、どんなリズムにグルーヴを感じるかは、文化や育った環境によって異なります。

例えば、アフリカ系音楽では裏拍ポリリズムに快感を感じる傾向が強い。
FunkやReggaeの「溜め」はその系譜ですね。
一方、西洋のクラシックでは、拍が正確で秩序ある構造に美しさを見出す文化とも言えます。
日本や東アジアでは「間(ま)」や「呼吸」を重視するリズム感が発達しています。

だから、どの国の人も「ノる」ことはできるけケド、何にノるかは文化によって違うというコトになります。
それはまるで、言葉のアクセントが違うようなものみたいなカンジでしょうか。
その人の育ったリズムの文法が、そのまま「グルーヴの感じ方」につながっているようですね。


なぜ人はグルーヴを感じると体を動かしたくなるのか

人間は音を聴くとき、耳だけでなく体でも聴いている
脳がリズムを感知すると、運動を司る「運動野」や「小脳」が反応し、
身体が勝手に動く準備を始めるんです。

だからクラブでDJプレイを聴いていると、誰も「踊ろう」と考えていないのに、自然に体が揺れ始める。
ん〜コレは人間に備わった原始的な共鳴反応とも言えるんじゃないでしょうかね。
人間は太古の昔から、リズムを共有するコトで一体感を得てきました。
狩りや儀式、祭り——そこにはいつもリズムがあり、グルーヴがあった。
つまりグルーヴは、人間が「つながる」ための本能的な仕組みに近いのかもしれません。


「グルーヴ」という言葉がわかりにくい理由

「グルーヴって何?」と訊かれても説明しづらいのは、
それが感覚的な現象だからなんでしょうね。

リズムやテンポのように数値化できないし、同じ曲を聴いても「グルーヴしてる」とカンジる人と、そうでない人がいるしね。

また、「グルーヴ」はジャンルによって意味が違うコトバでもあります。
Funkでは「リズムのうねり」、Jazzでは「ウィング感」、Technoでは「反復のトランス」、Rockでは「推進力」みたいなカンジですよね。
つまり、「グルーヴ」という言葉は多義的で、文脈によって姿を変えるコトバなんですね。


「グルーヴ」という言葉の語源

もともと “Groove” は英語で「溝」や「筋道」を意味しています。
実はコレ、レコードの「溝(Record Groove)」のコトでもあり、
また「決まった流れ」や「慣れた型」というイミでも使われていました。

1930〜40年代のジャズ時代に、演奏が調子よくハマっている状態を
In The Groove(調子が出てきた)」と表現したのが始まりといわれています。
そこから「Groovy(グルーヴィ)」=「かっこいい」「ノリのいい」というコトバが派生して、やがて音楽のフィールやリズム感そのものを指すようになったという経緯になります。

レコードの針が溝をなぞるように、ミュージシャンが「リズムの流れ」にピタッとはまっている——
そんな比喩から生まれたのが「グルーヴ」という言葉なんです。

ん〜グルーヴというコトバの意味がレコードの音溝から由来しているというのもナンかうれしいですね〜。


グルーヴは「生きている時間」

結局のところ、グルーヴとはナニか。
個人的にはそれは、音の中に感じる「生命の時間」なんじゃないかなぁ〜って思うんですよ。

機械のように完璧ではないけれど、呼吸のようにゆらぎ、一瞬一瞬が生きているように動く。
だからこそ人はそのリズムに惹かれ、体を揺らし、心が動く。
オイラが毎日コメントで「グルーヴが最高!」と書いてしまうのは、その「生きた瞬間」をレコードの中にカンジるからなんですよね。ん〜ロマンチック(笑)


針を落とせば、グルーヴが見えてくる

レコードは、まさに「Groove=溝」に刻まれた音楽。
そこには、当時のミュージシャンたちの呼吸や、スタジオの空気が封じ込められています。

CDやストリーミングのように完璧ではないけれど、だからこそ、アナログ盤には「人間的な時間」が流れている。
針を落とした瞬間、その溝(Groove)の中から、生きたリズムが立ち上がる…。

だからオイラは、これからもコメントに「グルーヴ」というコトバを使い続けちゃうんでしょうね。
まぁ〜そのコトバが一番シックリきますからね。
「グルーヴがある」——それはつまり、音楽が生きているというコトですからね。ん〜ロマンチック(笑)

 



「グルーヴって何?」と訊かれた時、どう答えればよかったのか

あの日、お客さんに「グルーヴって何ですか?」と訊かれて、オイラは「曲のノリですよ」って答えたケド、今になって思うと、もう少しわかりやすく言えたかもしれないなって思うんですよ。

たとえば——

「グルーヴっていうのは、音に体が自然にのっちゃう気持ちよさのことですよ」

これがいちばんシンプルで伝わりやすいんじゃないかなぁ。
難しい理屈じゃなくて、「聴いた瞬間に体が動く感覚」——それがグルーヴ。

もう少し音楽的に言うなら、

「リズムがちょっとゆらいだり、溜めたりすることで生まれる、人間らしいノリのこと」
って説明してもいいかもしれない。

要するに、機械が刻むリズムが「時間」そのものだとしたら、グルーヴは“生きた時間”。
それは数値ではなく、感覚で感じるものなんだ。

だからお客さんに「グルーヴって何?」と訊かれたら、コレからは「キタキタっ!」と思いながら、
音にカラダが勝手にのっちゃう感覚ってあるじゃないですか、それがグルーヴですよ
って答えようと思います。

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